図書館に求められる役割や事業が変化しつつあるように感じています。頂いたご意見を中心に、6月定例会の一般質問で大きく3点を問いました。
以下、質問と答弁の抜粋・要約です。
【1】受取りも可能な図書取次所の拡充について
質問⇒本市では各駅勢圏に図書館を整備する3館構想が実現されているが、図書館への移動が容易ではない地域も存在する。
返却ブックポストを武蔵野芸能劇場と吉祥寺東急REIホテルに設置したが、返却だけではなく受取りも可能な図書取次所の拡充への見解は。
答弁⇒図書館利用者の地域ごとの詳細については現在把握をしてないが、目標に掲げている利用促進に向けて、そういったことも十分に把握しながら、図書館協議会の中でも御検討いただき、進めていきたいと考えている。
現在は優先順位を考えて、子育て支援施設での返却ブックポストの拡充を検討している。
吉祥寺東急REIホテル入口に設置の返却ブックポスト
【2】図書館自習室について
質問⇒吉祥寺図書館の自習室では、時間制限やイベントの際に使えないなど制限が多く、10代のお子さんが近所の吉祥寺図書館を利用せず、武蔵野プレイスの自習室に通っているとの意見があった。吉祥寺・中央図書館の自習室設置・利用時間拡充を求めるが見解は。
答弁⇒ニーズは把握しているが、物理的な制約もあり他利用者との調和も踏まえ考えたい。
【3】図書消毒機について
質問⇒本市では、図書消毒機が中央図書館のみに設置されている。
コロナ禍で消毒機の注目が集まっている一方、図書消毒機自体の存在や効果についての情報が市民に広く伝わっていないように感じる。本市の消毒機設置の位置づけ、考え方を明確にし、周知が必要と考えるが見解を伺う。
答弁⇒消毒機で用いられている紫外線照射は新型コロナウイルスの不活性化に有効という海外研究機関の実験室での結果があると聞いている。
接触感染のリスクに対する基本的かつ実効的な対策は手指消毒の徹底と考えるが、コロナ禍以前から図書館資料に対する清潔感、安心感を求める利用者もいることを踏まえ、利用者動線も考慮した各館の設置場所、国補助金の利用可否などを確認し検討したい。
中央図書館に設置されている図書消毒機。
2017年4月の設置当初から2022年6月1日までの5年間超の累計利用回数は11万1,866回との答弁でした。
■質問を終えての所感
現在、第2期図書館基本計画(2019年度から 10 年間の計画)に沿って、図書館の新たな在り方について話し合いがなされていますが、求められている市民ニーズはアンケートによって把握しているものの、ニーズに的確に対応した事業検討がなされているかというと、少々ずれている部分もあると感じました。
以下、再認識いただきたい点です。
①返却ボックスを増やす検討はされているが、受け取りも可能な図書取次所が求められていること。
②地域毎の利用実態の調査がなされていない。
子育て施設の返却ブックポストの検討がなされているとのことだが、それと合わせて、地域カテゴリーでの検討をすることで、利用困難対象者を広く網羅できると考える。
③自習室への捉え方の齟齬を感じた。今回の質問では、集う場や閲覧の場ではなく、個人が学習できるスペースについての要望である。
公民館やコミュニティセンター、市役所の支所を受取りもできる図書取次拠点としている自治体は全国的に見られます。 所沢市のように、コンビニエンスストア7か所と連携し、取次所にしている自治体もあります。
コンビニエンスストアの協力により、朝6時から夜0時まで長時間の利用が可能となり、会社勤めの方にとっては便利なサービスとして浸透しているようです。
民間による書籍のネット販売が普及し、比較的低コストで玄関先まで届けて頂ける昨今、図書館の在り方が問われる時期に来ていると感じます。
また自習室に関しては、特に学齢期児童の居場所と して大変重要です。図書館内の設置が難しいとなれば、他の公共施設も含め、3駅圏で安定した利用が 可能な自習室の検討がなされるべきです。
図書館に求められる役割がここ数年で変化している中、市民ニーズに的確に対応した事業展開を要望しました。
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